大晦日の澄んだ空気の中、年越し前後に聞こえてくる鐘の音、そう除夜の鐘ですね。今年も聞こえてくるでしょうか?除夜の鐘は煩悩の数といわれていますが、なぜ108回なのでしょうか。そして、意外と知られていない「二十四節季」との関係についてお話します。
除夜の鐘の由来とはじまり
- 除夜の鐘の由来
除夜の鐘のはじまりは、中国の寺院でした。記録には西暦700~800年頃に始まったとされていますが、日本へ入ってくるのはさらに後になります。
- 日本での除夜の鐘のはじまり
中国から日本へは鎌倉時代に輸入され、室町時代には全国各地へ広がることとなりました。その頃日本のお寺は平安時代に出来た真言宗、天台宗に加えて新しい宗派が増える時代と重なります。
鎌倉時代に広がった新たな宗派、浄土宗、浄土真宗、時宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗の寺院が増えたことも除夜の鐘の広まる理由の1つでもあります。
除夜の鐘の回数はなぜ108回
除夜の鐘は日本のほとんどのお寺で108回つかれます。この108回つかれる理由には2つの理由があります。
- 煩悩の数
よく知られているのが私たちの持つ煩悩の数と言われています。この煩悩の数には数え方があるようですよ。
六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)と呼ばれる基本的な煩悩×好・悪・平(気持ちが良い、気持ちが悪い、どちらでもない)の三つ=18の煩悩
まず私たちの五感や考えから生まれる6種類の煩悩があり、それを好・悪・平と区別することで3種類に分かれるようです。ここで合計18の煩悩が出来上がりました。
18の煩悩×浄(綺麗)と染(汚い)の2つ=36の煩悩
次に18の煩悩を浄(綺麗な考え)か、染(汚い考え)かで2種類に分けると36個の煩悩のになります。
36の煩悩×3(前世、現世、来世)
出来上がった36個の煩悩を自分の過去の前世、今の自分である現世、未来の自分である来世の3つに分けて108個の煩悩があるようですね。
驚きなのは、良い考えでも煩悩になってしまっているところですね。仏教では、極端に良すぎる考えもいい考えではないと言われていますから、煩悩の数に入るのでしょうか。
- 二十四節季(にじゅうしせっき)
もう1つの理由は意外と知られてはいませんね。それは、全ての季節を終えたた節目としての数です。
二十四節季とは、1年間を24の季節に分けたものです。そして二十四節季を3分割したものが七十二候になります。
12カ月+二十四節季+七十二候
12+24+72=108となります。
理由は知られていませんが数え方は簡単ですね。
日本で有名な除夜の鐘をつけるお寺
日本国内で除夜の鐘といえばどこのお寺を思い浮かべますか?大晦日の夜に外へ出た時に聞こえる鐘の音は、おそらく地元のお寺でしょうか?
ちなみに北海道の高気密で窓の小さい一戸建て住宅では外の音は全く聞こえないんですよ。私の住むマンションのような窓の広い建物では、内窓を開けていれば近場の除夜の鐘が聞こえることはありますが…。
そこで、国内で有名な除夜の鐘をつけるお寺を3ヶ所紹介しますね。
- 知恩院(京都府)
観光で訪れたことのある方や、近隣の方以外には名前しか知られていないと思いますが、必ず見たことがあるのが知恩院の除夜の鐘です。京都府祇園地区にある知恩院は、ゆく年くる年の放送で必ず映る除夜の鐘のシーンが撮影されているお寺でもあるからです。
- 成田山新勝寺(千葉県)
歌舞伎ともゆかりのある成田山新勝寺も年末年始の番組で取り上げられる除夜の鐘の名所の1つですね。
- 浅草寺(東京都)
浅草寺も年末年始に盛り上がる場所の1つではないでしょうか?実は除夜の鐘も行っていて、参拝者の方が参加することもできるようですよ。
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まとめ
除夜の鐘のお話はいかがでしたか?除夜の鐘の回数が108回であることは、煩悩の数というのはしられています。煩悩の数え方は、少し複雑ですが、良いことも煩悩になることは意外でした。大晦日は暖かい服装でお寺に除夜の鐘をつきにいくのはどうですか?