足腰を悪くしてしまったり、忙しくてマメに草取りができないときは除草剤を上手に利用しましょう。除草剤の性質を理解し、正しい使い方を見ていきます。
除草剤の種類
除草剤は大きく分けると「農耕地用」と「非農耕地用」の二つに分けられます。
- 農耕地用(栽培の場の雑草)
芝生、花壇、植え込み、菜園、蜂もの
- 非農耕地用
飛び石や敷き石の間に生える雑草、側溝周辺、空き地などの雑草
農耕地用の除草剤
農耕地用の除草剤は日本芝やゼニゴケ、藻類の除草に向いています。
- 日本芝の除草
日本芝の中に発生する広葉雑草(イネ科雑草以外でクローバーやタンポポ、チドメクサなど葉脈が網状で葉の形が広い雑草)を除草するもの(ICP剤、MCPP剤など。剤型は微粉剤か液剤)と、雑草種子の発芽抑制に効果があるもの(CAT剤など)があります。前者は散布後1週間ぐらいで効果が現れ、芝生内に生えている広葉雑草だけを枯らします。
後者のCAT剤は、花壇などに苗を植えつけた後、雑草が生えてくるような場合、苗を植えてから散布しておくと、その後に発芽する雑草の根から吸収されて枯死させます。すでに根を張って生育中の雑草には効果がありません。
この薬剤は種の発芽時に影響する除草剤なので、これから種をまく、(または種をまいて、まだ発芽のそろわない)花壇には使えません。しかし、すでに草花が生育している花壇などに用いれば、その後に発生する雑草種子の発芽に有効です。ひととおり除草作業をした後に散布しておくと、何度も散布する作業に追われずにすみます。
本剤が吸着する限度は、地表から1cmほどです。そのため根が深く張った植物には無効ですが、本剤をまいたあと土を耕したりすると作物に影響を与えるので注意が必要です。残効性は3ヶ月です。
- ゼニゴケと藻類の除草
日陰地や裏庭、鉢ものの表面などに発生するコケや藻類だけを枯らす除草剤には二つのタイプがあり、水和剤とスプレータイプがあります。夏なら1日、冬だと7~10日で効果が現れます。鉢土の表面にゼニゴケなどが育ち、吸水・透水性が悪くなった鉢ものに利用すると便利です。
非農耕地用の除草剤
非農耕地用の除草剤は空き地の除草に向いています。
- 茎葉散布、速攻性タイプ(液状、残効性なし)
雑草の茎葉に散布すると、当日または翌日から枯れ始めます。ただし、薬の直接かからない地下部は枯れないので、再び生えてきます。
- 茎葉散布、遅効性タイプ(液剤、残効性なし)
雑草の茎葉に散布すると、葉から吸収されて地下部も枯れます。散布後、7~10日ごろから枯れ出します。濃度が濃いか施用量が多いと、ササやススキも枯れます。即効性と異なり、根まで枯れるので、たびたびの散布が不要であるため、よく用いられています。このタイプはアミノ酸が主成分で土中では微生物に分解されてしまいます。
- 土壌処理、遅効性タイプ(粒剤)
雑草の生えている地面に散布すると、4~5日目ごろから枯れてきます。地上部も地下部も枯れます。ただし、残効性があり、一度散布した場所には3~6ヶ月の間、植物を育てることはできません。
除草剤の正しい使い方
- 水和剤と液剤
水に溶かして噴霧器やジョウロで散布します。1㎡の均一散布に必要な水の量は、雑草の草丈によっても異なりますが、噴霧器で約200ml、ハス口をつけたジョウロで約700mlです。
薬剤に30坪(100㎡)100mlと書いてあれば、薬液は1㎡あたり1mlということにです。噴霧器で散布するときは、水199ml+薬液1ml/1㎡として用います。(この場合200倍液となる)ジョウロであれば約700倍液として施用するのが目安になります。
- 粒剤
「この容器の薬は○㎡分です」と記してあり、容器にメモリがついています。対象となる雑草はあまり大きく育ったものではなく、10~20cm程度を対象としているので、大きな雑草の場合は刈り込んでから与えます。
粒剤は雨上がりなど、土が湿っているときの方が効果が高いので、乾燥時には施用後にジョウロなどで充分に水を与えます。除草剤を初めて使う人の場合は粒剤の方が使いよいでしょう。
まとめ
- 除草剤は大きく分けると「農耕地用」と「非農耕地用」の二つに分けられる。
- 農耕地用の除草剤は日本芝やゼニゴケと藻類の除草に使用する。
- 非農耕地用の除草剤は空き地の除草に使用する。
- 水和剤と液剤はジョウロや噴霧器を使って散布する。粒剤は10~20cm程度の雑草向き。大きい場合は刈り込んでから散布する。
園芸を楽しみたいけど、草取りが大変で断念されている方も多いようです。園芸は雑草を抜き取るのが当たり前とき決め付けずに、上手に利用しましょう。ただし、正しく理解して使用方法を守ることは必要不可欠です。