アウトドアの時期に多い事故の1つに、熊と遭遇し襲われて怪我をしたお話を聞きます。私の暮らす北海道に住む熊は、ヒグマという2mを超える大型の熊です。襲われた方のほとんど亡くなるか重傷を負うほどの大惨事につながります。そこで、今回は熊の危険性と熊と遭遇しないための方法を紹介させていただきます。
キャンプで熊に遭遇する可能性
北海道で熊の出没する時期
北海道で熊の活動が活発になる時期は、初夏と秋といわれています。これは、冬眠から覚めた春には独身の熊も子熊を連れた親熊も食料をたくさん必要としているためです。
もう1つの時期、秋には冬眠に備えて、中でもお母さん熊は出産に備えて栄養の豊富な食料を必要とします。もちろん、春と秋の季節以外にも熊は普段から山や森で暮らしているため、キャンプや登山などのアウトドアでは目撃することも多いでしょう。
最近は人を怖がらない熊もいる
体の大きなヒグマですが、以前は人を恐がり熊の方から接触を避けていた時代もありました。しかし、最近では、人を恐がらず、人のゴミを漁って食料を得る熊もいるようですね。
理由は、大きく分けて2つあります。1つは、食料不足と山に近い畑が減ったことです。山に栗やドングリの木が多かった時代には、食料があふれていました。そして、山の裾野には畑が広がり、万一山に食料がない時期には裾野の畑から失敬すればよかったわけです。
最近では、山の裾野には住宅が広がり、観光地は山深くに突然近代的な建物があります。畑などで区切られていた、人間と熊の距離はほとんど0になってしまったわけです。
もう1つは、熊の視点でみると「安全な人間」が増えたことがあります。例えば、20世紀前半には山深くを歩く人間は漁師さん、測量や軍隊など専門の仕事の方、当然銃で武装していて近づけば攻撃してくる「凶暴な人間」です。
20世紀も後半になると、銃で武装した「凶暴な人間」がほとんどいなくなり、何も武器を持たず攻撃もされない「安全な人間」が食料を持って山を訪れる。登山やキャンプなどアウトドアの広がりで、さらに熊に対して知識を持たない「安全な人間」が増えたことも1つの理由です。
キャンプ場で熊の被害にあわないためにできること
ゴミの始末
まず、食べ物のゴミはすぐに処分することが大切です。もし、ゴミがすぐに処分できない場合は、密閉された容器や袋に入れ、テントや車など人の近くで保管しましょう。
テントは指定の場所に
次に、テントはキャンプ場指定の場所に張りましょう。テントの設営が禁止されている場所には、さまざまな理由があります。崖崩れ、洪水、有毒な動植物、その中に熊の出没もあります。特に北海道に暮らす大型のヒグマには、「遭遇しない」ことが1番重要です。
熊よけのグッズを準備する
先ほどの2つのことを取り組んでも、どうしても心配な方には熊よけグッズがおすすめです。1つは、熊を近づけさせない熊鈴と呼ばれる鈴です。登山やハイキング、釣りなどで山の中に入るときには身につけることで熊の接近を防ぐといわれています。
次に熊用の催涙スプレーです。こちらは、万一熊が出した際に身を守るために用意すると心強い熊よけグッズです。使用の際には、風の向きに注意しなければ催涙ガスが自分の方へ向かってしまうこともあり注意が必要です。
テント泊で熊を見かけたら?
あわてて逃げず静かに後ろ向きに
キャンプ場のテント近くで熊を見かけたら…。誰でもすぐに走って逃げたくなりますよね。
ですが、多くの専門家の方が走って逃げることが危険だと言っています。熊を含む肉食動物は、逃げる獲物を追いかける習性があること。そして、目線が合ってから逃げることは動物同士の喧嘩で負けた動物の行動と同じであるためです。
もちろん、熊がこちらに向かって走っている場合には迷わず逃げましょう。
近くに車があるなら真っ先に逃げる
もし、近くに車があるのなら、迷わず車に乗ることをおすすめします。車は私たちにとっては乗り物ですが、熊にとっては自分よりも大きな動くもの。山の峠道で車が熊に襲われた話はあまりききません。すぐに逃げ出せる車は、安全な大きな動物なのかもしれませんね。
まとめ
今回は、キャンプ場と熊についてのお話でした。北海道の熊は、体長が2mを超えるどう猛なヒグマです。そこで、キャンプ場で熊の被害にあわないためにできることを、3つ取り上げました。
1番大切なゴミの始末、指定場所でのテントの設営、そして熊よけグッズの準備です。それでも、命が守れるとは限りません。アウトドアの前にまは、熊の目撃情報を事前に調べておく必要がりますね。