意味を知っているようで知らない言葉って意外に沢山ありますよね。最近放送されたドラマ「正義のセ」でも登場人物の口癖として使われていた「老婆心ながら…」という文言がありますが、正しい意味を皆さんは理解していますか?似た意味で捉えられがちな「おせっかい」とは何が違うのでしょうか。ここでは「老婆心」という言葉についてお話していきます。
「老婆心」と「おせっかい」の違い
【老婆心】
“ろうばしん”と読み、文字通りの「年老いた女性の心」という意味です。具体的には、おばあさんが孫を心配して、口うるさくあれやこれやと口出しする事がありますよね。そのように、相手を思って、心配の度が過ぎて、いらない世話を焼いてしまう、という意味で使われます。
《例》
- 老婆心ながら忠告しておきますね。
- これは私の老婆心だけれど、もうそろそろ先の事を考えた方が良いと思うよ。
【おせっかい】
おせっかいとは、相手の気持ちを考えずに、出しゃばったことをしたり、相手に勝手にお世話をやいてしまったりすることを指します。
《例》
- 余計なおせっかいをしたら承知しませんよ。
- おせっかいをしたくてたまらないような顔をしている。
この2つの言葉の意味の大きな違いは、相手を思っての行動の時は「老婆心」、相手の気持ちを考えずに、自分主導の行動の時は「おせっかい」になります。
「老婆心」は男性が使っても良い言葉?
字面を見る限り、男性が使っても良い言葉なのか迷う方もいますよね。実際は、男女問わず使って大丈夫な言葉です。むしろ、男性の、ある程度、歳を重ねた方が使うケースが多いです。直球で物申されるよりも、親切な感じや優しい感じが強くなりますよね。
「老婆心」は目上の人に使っても良い言葉?
老婆心という言葉は”自分の心遣いが度を越しているかもしれないが”とへりくだって使う言葉です。ですので、若くて経験のない人間が目上の人に使う言葉としては違和感があるので避けた方が良いでしょう。
老婆心の類義語として、「余計なお世話」や「善意」や「僭越ながら」という言葉で言い換えることが出来るので、目上の方に対しては類義語に言い換えることをおすすめします。
★老婆心ながら一言言わせて頂きます。
という文を類義語で置き換えてみると、
→余計なお世話かもしれませんが、一言言わせて頂きます。
→善意として、一言言わせて頂きます。
→僭越ながら、一言言わせて頂きます。
となります。
「善意」に関しては、少し強い印象を与えしまうこともあるのでお気を付けください。「僭越ながら」は、謙遜、恐縮しながら目上の人に何かを申したい時に使える言い換えでしょう。他にも、「お言葉ながら」「恐れながら」「失礼ながら」「出過ぎたことを申しますが」「失礼を承知の上で申しますが」など、様々な言葉で言い換えることが出来ます。
しかし、いくら言葉を言い換えたからといえ、目上の人に物申して、場の空気が悪くなってしまった場合は、「出過ぎた真似をいたしました」や「出過ぎたことを申しました」と謝りましょう。逆に、自分が年上だけど立場的には低い場合は「老婆心が過ぎまして…」と、「老婆心」という言葉を使って謝罪することも出来るので覚えておくと良いでしょう。
まとめ
「老婆心ながら…」のような例え言葉は、意味をしっかり理解して使えるようになると、博識に見えますし、言葉を知らなかった人との会話の糸口にもなりますよね。しかし、使う場面や使う人を間違えてしまうと一気に場の空気が悪くなる危険もあります。ですので、時と場を見極めた言葉の選択が出来るようになると、またひとつ、会話をすることが楽しくなるかもしれませんね。