介護のために離職せざるをえない介護離職。なぜ離職しなくてはならなくなってしまうのでしょうか。
最近話題の介護離職とは?
- 介護離職とは?
介護離職は、家族の介護のために現在の仕事を離れなければならなくなることです。70代後半から80代の親御さんをもつ40代後半~50代後半の方に多いといわれています。
- 介護離職による損失
①家計を維持できない
介護離職をされる方には、もちろんご自身と介護をする家族の生活費など、今後の資金を準備しての退職だと思います。それでも、介護をしながらの生活にはお金が多くかかります。仕事という大きな収入源を失うため、万が一のご自身の入院や事故などで生活が破綻してしまう原因にもなります。
②その後の生き方に影響
そして、もう1つは、その後の生活に影響することです。70代後半~80代で介護が必要な家族がいる方、介護の生活はどの程度続くでしょうか。10年続くことは珍しいと思います。
例えば40代後半で介護離職をされて、介護が終わった10年後、還暦を迎えてご自身はまだまだこれから生活があります。もし、介護をしながらの生活の中で何かを身につけれていると良いのですが、仕事を離れていた期間というものはその後の生活に大きく影響することになります。
介護離職が起きる3つの理由
- 働き方が世の中にあわなくなってきている
介護離職が起こる理由の1つに、働き方が世の中に合わなくなっていることがあります。最近では、新しい働き方がようやく広まり始めましたが、多くの方が出勤後8時間程度の時間を拘束される仕事に疲れているのではないでしょうか。
さらに出勤しなくても行える仕事もありますが、国内の多くの企業では原則出勤での働き方になります。介護には、ちょっとお昼ご飯を支度する時間、トイレの時間、様子を見に行きたい時間など、「ちょっと30分~1時間」の時間が必要なことが多くあります。
出勤後8時間程度の拘束がある働き方では、働きながらの介護は不可能になります。
- 国の介護保険制度のみでは不十分
もう1つの理由に、現在の介護保険サービスは、共働きの核家族、1人暮らしの高齢者を自宅で支援するためには不足しているものがあります。
例えば、認知症で常に目が離せない高齢者の方とフルタイムの仕事を持つ娘夫婦、高校生のお孫さんの家庭ではどんな生活になるでしょうか。
日中は間違いなく8時~19時頃は家に誰もいなくなります。1週間に数日デイサービスを利用できるとしても、娘夫婦のどちらかはフルタイムの仕事を離れなければなりません。
- 介護は誰かが担う、住みなれた家で暮らしたいお年寄り
3つ目の理由、これは経済界の仕組みや制度の問題ではありません。日本の、風習のよくない部分です。日本には美しい「助け合い」の精神があります。
この助け合いの精神ですが、介護の問題では、家族は介護する義務があると受け取られてしまいます。そして、家族の中でも特定の人が多くの負担を負わなければならないのが日本の実情ではないでしょうか。
そして、もう1つは、いつまでも住み慣れた家で暮らしたいという気持ちです。生まれた故郷を離れ、新しい家庭を持ち、お子さんが自立できるようになった後に高齢になった親御さんの介護が訪れます。
親御さんと同居して介護をするときには、親御さんを自宅へ呼ぶか、自分たちが故郷へ帰るかの選択を迫られてしまいます。勤め先が全国に展開していて、移動の融通が利く企業は多くはないでしょう。
また、もし故郷へ帰ることを選ばれるときにも今の職場を離れなければならなず、介護離職につながってしまうことになります。
まとめ
介護離職は、70代後半から80代の親御さんをもつ40代後半~50代後半の方が介護のために仕事を辞めてしまうことです。
介護離職が起きる理由、それは3つあります。1つは、現在の企業が採用している働き方が育児や介護に合わない仕組みであることです。もう1つは、国の介護保険サービスのみでは、働きながら介護をするるに不十分なことです。
最後に、日本では介護は当たり前、一緒に暮らすのは当たり前という価値観で誰かに負担が偏ってしまう日本のよくない風習にあります。制度が良くなることはもちろんですが、もう一度「働く」ということを見直さなければならない時期になっているのでしょうね。