式年遷宮を終えて新しく生まれ変わった伊勢神宮。式年遷宮の意義や参拝の仕方、本殿の造りなど、伊勢神宮について解説します。
伊勢神宮の式年遷宮の意義
伊勢神宮は近年(平成25で62回目)、1300年に渡り繰り返されてきた式年遷宮(しきねんせんぐう)を終えて新しく生まれ変わりました。とは言っても此の遷宮行事は20年に一度にわたり造り替えられることになっていて、常に20年おきに新しく瑞々しい社殿に生まれ変わり、それが永遠に変わらないお祭りとして古式のままに執り行われるもので、其処に大きな意義があるのです。
式年遷宮は飛鳥時代の頃の持統天皇(第41代の女性天皇)の発案によって第一回目が行われたとされております。そして其の意義ついて色々と考えられているようですが、現在、最も想像されているのは、過去の建築様式である弥生式建築を保つこと、それに建築の技法や技術を今の世から後の世に送り届けること、としているようです。
伊勢神宮の参拝の仕方
伊勢神宮の参拝の仕方は「二礼二拍手一礼」といって、一般的な神社の参拝の仕方、拝礼の仕方と同様であります。そして、祈願する内容に関しては、個人は己や家族のことを願うのもいいけれど、もっと広い意味の森羅万象や自然に感謝し、強いて言えば世の中や日本国の安泰を祈願するのが本来の仕方とされております。
内宮と外宮間は約5kmほど離れておりますが、参拝の順序は外宮を先に、ついで内宮に参るのが古来の正式な参拝順序となります。
伊勢神宮の本殿構造
伊勢神宮は皇大神宮といって、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が祀られていることは周知でありますが、この神様は女神であります。従って、本殿(伊勢神宮は正式には御正殿といいます)の造りが若干異なって、屋根のいただきの両隅(両端)は「千木(ちぎ)」といって先端がV状に交叉して延びていますが、この先端の切り口が水平になっています。
この場合は「女神」を祀っていることを表しているのです。 因みに、垂直に切られている姿は「男神」を祀っていることを示しているのです。
ドイツの建築家ブルーノ・タウトも絶賛した「唯一神明造」
本殿は「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」と称していて、神宮だけに用いられる呼称だそうで、土台は高床式になっているのが特徴であり、此れは、弥生期において稲作が導入されてきて其の文化が発達した頃に、稲昨を収める為の倉庫の形式から由来しているともいわれています。
そして、有名なドイツの建築家であるブルーノ・タウトという人が此の伊勢神宮を見て、「この建物は究極的でしかも極致的形式を伴っている」と大いに褒め称えたと言います。
つまり、伊勢神宮は自然や農耕の発展を祈る神社なのです。従って、伊勢神宮の主たるお祭りは稲作に関連した行事が多いのが特徴です。それゆえに、日本人の各神社のお祭り、祭事の根本や基本というのはここにあると言ってもいいでしょう。
伊勢神宮の祭事にしても日本人が生活してゆくのに最も基本的である「食」についての御祭りが多く執り行われるということなのです。
伊勢神宮のお祭りは、実は毎日行われる一日単位のものと、一年の節目に行われるものと合わせると、実に1600種以上もの祭事があるとされているのです。そして、此の度毎にぬかずいて、「二礼二拍手一礼」の拝礼が行われるのです。
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まとめ
- 伊勢神宮の式年遷宮の意義は、過去の建築様式である弥生式建築を保つこと、建築の技法や技術を今の世から後の世に送り届けること。
- 伊勢神宮の参拝の仕方は「二礼二拍手一礼」。参拝の順序は外宮を先に、ついで内宮に参るのが古来の正式な参拝順序。
- 屋根のいただきの両隅の「千木」は、「女神」と「男神」を祀っていることを示している。
- 伊勢神宮は自然や農耕の発展を祈る神社である。
数々の神話も生まれた伊勢神宮。時には静かに時の流れる場所でタイムスリップした気分になるのもいいかもしれませんね。