北海道旅行をされたご高齢の世代には、木彫りの熊をお土産に買う方が多かったのではないでしょうか?親や祖父母が北海道を訪れ、購入した木彫りの熊を玄関や居間に飾っていた家庭もあることでしょう。今回は北海道土産として有名な木彫りの熊のお話をさせていただきます。
北海道で木彫りのおみやげが有名な理由
食べ物以外の北海道土産といえば何を思いつきますか?もしかしたら木彫りの熊を思い浮かべたのではないでしょうか。
ヒグマがシャケを加えた木彫りの熊の姿は、いかにも北海道と言えますね。
木彫りの熊のお土産の歴史は、北海道では古いといえます。ですが、本州ではそう古くはないと思われるでしょう。北海道土産の木彫りの熊には2つの由来があります。
- 旧尾張藩の末裔が始めた
1つは、現在の愛知県、かつての旧尾張藩の末裔が北海道の八雲地方を開拓した時のお話です。
冬は田畑が雪と氷に閉ざされる北海道。農家の方は冬場は別の仕事をされている方がほとんどです。温室の設備のなかった大正当時はなおさらですね。
冬の収入に乏しい北海道の農業を見かねた旧尾張藩の末裔が、欧州に海外留学に行ったとき、1つの土産物を目にしたそうです。それは、動物の木彫り細工。
さっそく動物の木彫り細工を持ち帰り、八雲で冬場の収入源になるようにと生産を始めたことが木彫りの熊の始まりと言われています。
- アイヌ民族の伝統説
もう1つの由来は、北海道の先住民のアイヌ民族の伝統的な芸術作品が元になったという説です。昭和初期に旭川市でアイヌ民族の有力者が木彫りの熊の販売を始め、後に土産物として広まったと言われています。
木彫りのおみやげは熊だけ?
北海道のお土産は熊だけではありません。他にもある木彫り人形をご紹介します。
- フクロウ
フクロウは北海道に古くから生息する大型の猛禽類。北海道でも、特に山間の地方に行くと深い森の奥から、低い鳴き声が聞こえることもあります。
フクロウは札幌のサッカーチーム、コンサドーレ札幌のキャラクターでもあり、フクロウを模したお菓子も多く作られています。フクロウの木彫りは止まり木に止まる姿で、丸くコロッとして可愛らしい姿ですよ。
- ニポポ
ニポポは北海道の先住民のアイヌ民族の言葉で「木の小さな子」と呼ばれています。アイヌ民族の言葉はとても具体的でストレートな表現なのですが、ニポポの意味としては「木の精霊」が適切でしょう。
1頭身の木彫りの人形ニポポは、男性の人形と女性の人形を合わせて1組として売られています。どちらも伝統衣装を身にまとった姿で、無垢の木のニポポからカラーのニポポまで種類は豊富です。
- コロポックル
コロポックルらアイヌ民族の言葉で「蕗の葉の下の人」を意味します。そうは言ってもニポポ同様にわかりづらいので、身近な表現に変えると「小人」ことです。
アイヌ民族は文字での記録を残してはいませんが、実在したと言われていて、外国人や何らかの病気の影響のある人たちのことではないかと言われています。
コロポックルもニポポに近い1頭身の木彫りの人形です。ニポポが角ばった姿をしているのに対して、コロポックルは丸い姿をしており、どちらかと言うとゆるキャラに近い人形ですよ。
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まとめ
北海道の木彫りの熊の由来は2つの説があります。1つは旧尾張藩の末裔が八雲地方で、冬の農家の方の副収入として始めた説。もう1つは、アイヌ民族の伝統文化をお土産として活用した説です。
有名な木彫りの熊ですが、北海道には他にも木彫りの人形がありますよ。それは、フクロウ、ニポポ、コロポックル。
大きなものは最近の家庭には置き場に困ることでしょう。小さなものをちょっとしたお土産にいかがでしょうか。