寒い季節に注意が必要なノロウイルス。いったいどのような感染経路があるのでしょうか。家庭でできる予防方法について書いています。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスは、冬に流行し激しい腹痛や嘔吐を起こすことで知られています。インフルエンザと同じように、まさに今これから流行しようとしているウイルスですね。夏に流行する食中毒では、大腸菌が知られていますね。中でもO-157は命を落とす方もいるほどです。
ノロウイルスは、同じ腹痛や嘔吐を起こしますが、感染する方法も異なります。大腸菌のような細菌より、小さなウイルスですので当然ですよね。
ノロウイルスの感染経路は貝類を生で食べることから始まります。そして、感染した方から別の方に移ってしまい感染が広がっていきます。
さて、この貝類にはなぜノロウイルスがいるのでしょうか?
実は貝類もまた、感染した人の排泄物から出たノロウイルスを蓄えています。これは、感染した人の排泄物がトイレから下水管に入り、下水処理場に向かうためです。
下水処理場では、薬品や微生物の働きで大腸菌など細菌を減らすことはできますが、ノロウイルスを殺すことはできないようです。そうして生き延びたノロウイルスは下水処理場の排水とともに海へ帰り、貝類に蓄えられるわけです。
ノロウイルスの予防の基本
- 危険のある食べ物を避ける
ノロウイルスは85℃~90℃で90秒以上の加熱をすると死滅するといわれています。中でも貝類、特にカキなどの二枚貝にノロウイルスが多いことが知られています。地域によっては旬を迎えるカキですが、冬の間は生で食べないことが大切です。
- 手洗い
もう1つ大切なことは手洗いです。手洗いはノロウイルスに「かからない」ためと、ノロウイルスを「うつさない」ための効果が期待できます。
風邪もそうですが、自分が「かからない」ことも大切ですが、人に「うつさない」ことはもっと大切です。手洗いでは必ず石鹸、そして手洗い後は消毒液をもみ込んで手についているウイルスを減らすようにしましょう。
家庭でできるノロウイルスの予防方法
- 消毒に役立つキッチンハイター
ノロウイルスはアルコール消毒に強いという特徴があります。消毒液の多くはアルコールですので、ノロウイルスにはあまり効果が望めません。
そこで、役に立つのはキッチンハイターです。キッチンハイターに含まれる塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は、ノロウイルスに効果のある数少ない物質です。手元に塩素系の消毒液がないときには、キッチンハイターを代用します。
使い方はキッチンハイターを水で50倍に薄めます。500ccのペットボトルであれば、10ccのキッチンハイターを入れます。(ペットボトルのふたが5cc程度です)
これを吐しゃ物などを処理するさいに使います。吐しゃ物は乾燥するとノロウイルスが空気中に舞いやすくなるので、できるだけ早く片付けるようにします。
また、かならずゴム手袋、マスクなどをつけて使用するようにしましょう。
- 布団乾燥機で加熱する
もう1つ役に立つ道具があります。それは、布団乾燥機。ノロウイルスは洗剤に強く、空気中でも1カ月以上も生きていることが確認されています。
布団乾燥機を使う目的は乾燥ではなくて、加熱です。食品の場合、85℃~90℃で90秒以上の加熱で死滅するといわれています。定期的に布団乾燥機で布団や絨毯を加熱することは、ダニの退治だけでなく、ノロウイルスにも効果のある方法です。
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まとめ
ノロウイルスは冬に流行し、感染性胃腸炎を引き起こす厄介なウイルスです。ノロウイルスの原因の1つに生の貝類を食べることがあります。
生の貝類は、海水の中にいるノロウイルスを蓄えてしまうことで、それを食べた人に感染してしまいます。貝類が住む海水のノロウイルスは、実は私たちの排水から出たものでした。
下水処理場を通っても、排水に含まれるノロウイルスは除去されないようです。そんなノロウイルスにも予防法があります。
予防の基本は、危険な食べ物を避けること、加熱調理すること、手洗いを徹底することです。他にも、塩素系漂白剤を使った消毒や布団乾燥機での加熱はノロウイルスに効果のある数少ない対処法です。